先日、めでたくデビュー戦を飾って参りました。
デビュー戦は、静かに幕が上がった
とはいってもプロテストに合格したとかそういうのではなく、単に練習を重ねていたら当日が来たというだけなんですが。
普段、どこかの演奏会に行ったら、たくさんのチラシを挟んだパンフレットをもらって席に入ります。
あれも、朝からリハーサル前にせっせとみんなで挟み込みです。
そしてリハーサル、休憩、受付。
わたしは最後の曲しか弾かないので、受付に最後まで残っていましたが、昨年の観客数に合わせて用意されていたパンフレットが、なんと、足りなくなってしまった!
曲目がよかったのか、それとも涼みに来た人が多かったのか…。
受付が終わり、舞台の袖に移動。練習のときにいつも聞いていた曲が奏でられていて、「あぁ、これでこの曲ともお別れか」「またいつかどこかで別の楽団の演奏として聞けるかな」などと、練習してもいないくせに感慨もひとしお。
そして、いよいよ最後の曲。ドボルザークの「新世界より」の番がやってきました。
いや、怒涛の幕開けだった
本番から一週間前までは、他の人に紛れることだし、自分は舞台に出た感覚と、弾けるところだけ思い切り弾いて満足出来ればいいやと思っておりました。
ところが、第2楽章に、パートで4人だけで弾かなければならないところがあり、一週間前に、急に、そこを弾くことになってしまいました。ガビン!
たった4小節。
ですが、初心者かつ初舞台のわたしには、されど4小節!
そこからの一週間は、何より優先してその4小節を練習しました。
あわや酸欠
第2楽章をなんとか終えることができました。
ほっと一息…。でも、本当はここからが盛り上がるところ。
気付けば、しばらく息を吸っていたかどうかもわからない状態。なくらいに集中していました。
ゆっくり深呼吸して、ふと目線を上げると、譜面台の向こう、指揮者の足元に熱心に身を乗り出して見ているおじさん。
反対側へ目を向けると、じーっとまっすぐこちらを見ている人たち…。
違うとわかっているけれど、みんながわたしを、わたしの左指を見ているような気になる! と思った瞬間ちょっと怖かったけど、逃げられへんしなぁ…。
そうこうしているうちに指揮者の腕は振り下ろされ、演奏が続き、そして終わりました。
終わってすぐには拍手は起きず。
あれ? 2曲目と違う。
なんか2ndバイオリンに一人下手なのが紛れ込んでたのがバレた?
と、思ってたら、バーっと拍手が起きました。
アンケートの集計をみていても、わりと盛況だったようです。今年に限って批判が多かったらどうしようと思っていましたが、そんな心配は無用だったようです。
そらそうです。わたしごときの音がオーケストラの皆さんの積み上げた音に勝つわけないし。
音の飛び出しも居残りもなく、ほんとに無事に終わってよかったです。
最後はアンコールを、ほんとにほんとに穏やかな気持ちで弾くことができました。
終わりに
「演ってみる」から始めて、「演る」と変わったのは、本番からほんの一週間前だったように思います。
ギリギリまで、「どうしてもできなそうだったら、当日は裏方で」と思っていました。
それがなんとか当日、舞台に上がれて、最後まで弾くことができ、そしていまは来年のことを考えている!
諦めないでよかったと思います。