数年前、脱派遣を目指して就活をすることになりました。そのときの出来事、心を折らない心構えについて、わたしの体験をちょっぴり書いてみました。
もう更新は難しいと言われました
25歳でワーホリから帰ってから、20年近く、派遣社員として働いていました。初めのころは派遣という制度が始まったばかりで、イメージも「即戦力」だの「ほしい能力」だの言われ、ちやほや(?)された時代だったように思います。
調子に乗って時給UPの交渉やら更新するしないやら、なんとなくこっちが主導権を握っていたような感がありました。でも、時代は流れ、いまとなってはあの頃は制度を作り上げていく過程でうまく転がされていたのかもしれないという気もします。
そんな派遣生活も長く続き、いつかは正社員になりたいな~と思いながらも、「この年では無理なんだろう」と勝手に自分で思っていました。派遣の期間が満了になっても、次の派遣先にいくことが楽といえば楽だったし、正社員にチャレンジしても、なんとなく「傷つくに違いない」と思っていました。
そこへ突然、派遣先の上司から「次は更新はどうかな~」と言われたのです。今回が最後になるかもよって。
こりゃ大変だ。
44歳。ハローワークで求人票をみたら、どうやら当時の就活には境目の歳っぽいのです。やばい(今どきの若者言葉でつぶやく)。
もうこの際だし、定年まで派遣でつないでいこうかとも思いました。でも、ボーナスほしい。それがだめでもせめて通勤手当がほしい。長い派遣生活の反動か、そういうことばかりがよぎります。
なら、最後のチャンスだ、就活しよう。
ねえさん、最後のチャンスです
さっそく19時まで開いてるハローワークに通いました。そこは土曜日も開いていたので本当に助かりました。
リクルートスーツも買いに行きました。スーツは何着か持っていましたが、体がはまりませんんで、新しいものが必要でした。これが最後のリクルートスーツになればいいなぁと思いながら試着。
昔使っていた黒い鞄もクローゼットの奥から引っ張り出して・・・かび臭いので干しました。
ハローワークではとても熱心に対応していただきました。こちらから見つけた求人へはもちろんのこと、何度も通っていると、カウンターに座った瞬間に、「こんな求人があるんです」と教えてくれました。いま思い出しても感謝感激で泣きそうになります。
・・・このとき決めた職場を、わたしは残念な理由で去らなければならなくなりました・・・。
履歴書と職務経歴書を書いてときには電車に乗って、ときには車で面接に出かけました。
紹介予定派遣1社、正社員8社(内4社は書類で落ちた)。
電車に乗ると、いい歳してリクルートスーツ着た女が「浮いてる」ように思えました。若いカップルが笑っているように思えました。営業マンが憐れむような目線を投げてくるように感じました。本当はたぶん誰もそんな風に見ていません。でも、自分が哀れに思えたものです。
3社目の面接に向かうとき、このままでは周りを気にする自分に負けてしまうのではないかと思いました。弱い気持ちがきっと顔にも出ている。
最後のチャンスかもしれないのに。
誰もそんな目で見ていないかもしれないのに。
そう、きっとみんな、「あの歳でがんばろうとしてる。すごいなぁ、がんばれっ」って思っているに違いない! 心を入れ替えてその日の面接に臨みました。
ちょっとの心構えで正社員受かりました
就活、成功しました。
それが採用の決め手かどうかは定かではないが、心を入れ替えて面接に行ったその会社で、内定の電話をもらいました。その後も2社に受かりました。
面接の日、企業にたどり着くまでの間は、すれ違う人誰もが応援してくれている。
面接の場では、面接官もわたしを応援してくれている。
そんな風に思い込むことにしました。絶対この部屋を出るまでは心を折らないと強く念じました。
人事を尽くして天命を待つのです。人事というか、心構えにすぎませんが、振り返ると、意外にこれがとても大事なことだったように思います。
そして、どんなに言葉が浮かんでこなくても、質問されたことには絶対に何か答える。可能ならこちらからも絶対に何か質問する。
そして、面接が終わってから部屋を出るまでに歓談してみる。いい根性してる体で。この厚かましさ。年の功でしょうか、利用しない手はない。
大丈夫、だって、みんながわたしを後押ししてくれているのだから。
ついでに笑いのひとつでもいただいたりして。
まとめ
リクルートスーツが似合わなくなってしまってからの就活(もちろん人による)。
事情はひとそれぞれで、前向きにチャレンジすることはちっとも恥ずかしくないのに恥ずかしいと思ってしまったのは、スーツが似合うとか似合わないとかではなくて、きっと「もう更新してもらえないのか・・・」と、結構長くいた派遣先から追われるような状態になっての就活だったからだと気付く。
なんとなく負い目を感じながらの就活で、みじめな気がして、怖気づいて、次の派遣先の紹介を派遣会社に頼もうかと何度も思いました。一歩間違えたらチャンスをものにできなかった。
自分で自分の人生をあきらめてしまいそうになっていた。誰がどう思おうが、自分が必要だと思うときに立ち上がらないといけなかった。あのときは、本当にチャレンジしてみてよかった。そう思います。
訳あって、いまはその会社を辞めたけど、自分を信じて立ち向かって本当によかったと思っています。成功は自信になり、その過程で得たものは財産になる。なんちゃって。